児童文学 | 天の光はすべて星

原題:The Lights in the Sky Are Stars
著者:フレドリック・ブラウン
発行:1953年
1997年、人類は星々に対する情熱を失い、宇宙開発計画は長い中断の時期に入っていた。星にとり憑かれた57歳のもと宇宙飛行士マックス・アンドルーズは、そんな世界で無為の日々を過ごしていた。しかし、木星探査計画を公約に立候補した女性上院議員候補の存在を知ったとき、彼の人生の歯車は再び動き始める。もう一度、宇宙へ― 老境に差しかかりつつも夢のために奮闘する男を、奇才ブラウンが情感豊かに描く古典的名作。

<感想>
タイトルの美しい響きに惹かれて、ずっと読んでみたいと思っていた作品。
実際読んでみると、ロマンチックなタイトルとはかけ離れたなかなか渋い内容でした。
主人公マックスは初老の男性で、その恋愛模様なんかも描かれており、特に児童・若者向けに書かれた作品ではないですが、ただ、途方もなく大きな夢(宇宙)に向かって、狂気的なまでにひたすら突き進むマックスの姿は、若い人が読んでも、なにかしら心揺さぶられるものがあるんじゃないでしょうか。
それだけに、ラストの展開のなんとも衝撃的で切ないこと。
宇宙がどれほど壮大で、ロマンに溢れているか、これでもかというほど好奇心を煽られる一冊でした。