児童文学 | ムーミンパパ海へいく

原題:Pappan och havet
著者:トーベ・ヤンソン
発行:1965年
毎日が平和すぎてものたりないムーミンパパは、ある日、ムーミンママとムーミントロール、ちびのミイをつれて海をわたり、あれはてた島の灯台守に。植物も育たない岩だらけの島になじめないムーミンママは、部屋の壁にムーミン谷の絵を描いては、そこで眠ってしまうように。いっぽうムーミントロールは、美しいうみうまに出会い、追いかけてきた氷の精モランと夜ごと会うという秘密をもってしまい・・・。

<感想>
みんなの気持ちがバラバラで、やることなすこと空回りで、普段の和気あいあいとした温かい雰囲気のムーミンの物語が好きな人には、ちょっと読むのがつらい内容だと思います。
全編を通して鬱々としていて、起伏もなくただただ淡々と進んで行く物語は、明らかにこれまでのムーミンシリーズの物語とは違って突き放す感じがあり、思わず読む本を間違えたかと思うほどでした。
一体どうなってしまうのかと不安な気持ちで読み進めるハメになりましたが、ラストでは、チグハグだった空気もしっとり落ち着いて、いつもの温かみのあるラストだったので、そこでようやく安心することができました。