原題:Life of Pi
著者:ヤン・マーテル
発行:2001年
1977年7月2日。インドのマドラスからカナダのモントリオールへと出航した日本の貨物船ツシマ丸は、太平洋上で嵐に巻き込まれ、あえなく沈没した。たった一艘しかない救命ボートに乗り、助かったのは、動物たちを連れカナダへ移住する途中だったインドの動物園経営者の息子パイ・パテル16歳。ほかには後ろ脚を骨折したシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてこの世で最も強しく危険な獣、ベンガルトラのリチャード・パーカーが一緒だった。広大な海洋にぽつりと浮かぶ船。残されたのは僅かな非常食と水のみ。こうして1人と4頭の凄絶なサバイバル漂流が始まった・・・。
<感想>
ベンガル虎のリチャード・パーカーとの奇妙な漂流生活のなかで、お互いの関係性が徐々に変化してゆく過程が面白かった。
単純に冒険小説として十分楽しめる内容でしたが、ラストに語られる“もう一つの物語”はかなりショッキング。
どちらの物語が真実なのか、作中に答えは明示されていませんが、個人的には、3つの宗教の神様に対するパイの信仰心と同様、リチャード・パーカーの物語も、とても信じがたいことではあるけれど、真実なんだろうと思いました。
読み終わった後に、あれこれと考察する余地がたくさんある小説でした。
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