原題:二十四の瞳
著者:壺井栄
発行:1952年
昭和のはじめ、瀬戸内海べりの一寒村の小学校に赴任したばかりの大石先生と、個性豊かな12人の教え子たちによる、人情味あふれる物語。分教場でのふれあいを通じて絆を深めていった新米教師と子どもたちだったが、戦争の渦に巻き込まれながら、彼らの運命は大きく変えられてしまう…。戦争がもたらす不幸と悲劇、そして貧しい者がいつも虐げられることに対する厳しい怒りを訴えた不朽の名作。
<感想>
大石先生寄りの視点から、戦争に翻弄された12人の子供たちの運命を俯瞰で眺めるような作品。
子供たちの人生を通して、いかに戦争が不毛なものであるかが伝わってきます。
登場人物たちの心温まるやり取りを中心に据えた、いわばよくあるヒューマンドラマの体裁ではないので、そこは物足りなさを感じてしまうだろうし、馴染みのない時代背景であることも加わって、子供にはちょっと読みにくい作品だろうとは思いますが、それでも一度は読んでみてほしい作品です。
押しつけがましい主張をすることなく、自分の想いを表現しようとする作者の姿勢も素晴らしいと思いました。
児童文学 | 二十四の瞳
