児童文学 | 太陽の子

原題:太陽の子
著者:灰谷健次郎
発行:1978年
ふうちゃんは、神戸生まれの女の子。おとうさんとおかあさんは沖縄出身で、神戸の下町で琉球料理の店「てだのふあ・おきなわ亭」を営んでいる。やさしい常連さんたちに囲まれて明るく育ったふうちゃんだが、六年生になった頃、おとうさんが心の病気で苦しむようになる。おとうさんの病気の原因は何なのか?ふうちゃんは、「沖縄と戦争」にその鍵があることに気づきはじめる・・・。戦争は本当に終わっているのだろうか。なぜおとうさんの心の中でだけ戦争は続くのか?

<感想>
ふうちゃんのまっすぐさ、おきなわ亭の人々の温かさがとても人間味にあふれていて、読んでいて気持ちの良い作品でした。
ギッチョンチョンの愛らしいキャラクターにほっこりしたり、母親へのキヨシの切実な絶叫で思わず泣いてしまったり、登場人物たちがとても生き生きとしており、気付いたらこれまでにないくらいどっぷり感情移入して読んでいました。
作者の主張(?)も、とりあえず物語の展開の範疇に収まっており、このくらいの方がまだ素直に入ってきます。
ただ、結末はあまりにも衝撃的で、読後しばらく呆然・・・。
子供に勧めるには、ちょっと注意が必要です。