原題:カラフル
著者:森絵都
発行:1998年
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが・・・。
<感想>
冒頭、「そんな殺生な、という声も高いことから・・・」のあたりで早々に心が折れかけましたが、頑張って最後まで読んでみたら、なかなかどうして面白かった。
ラストの主人公の正体が明かされるシーンにいたっては、パズルのピースがぴったりはまったような、ぞくっとする気持ち良さがありましたし、なんだかんだでけっこう楽しめました。
ただ、この作品で作者がやろうとしていること、表現しようとしているテーマはとても共感できるんですが、なんというか、登場人物たちの造形やらなんやらが、話を作るために用意されただけのモノになってしまっていて、個人的にはその部分がどうにも好きになれず。
また、自殺・不倫・援助交際などの問題を軽く扱っているとは言いませんが、少々軽率と思われる部分もあって、読み方によってはちょっと危ういかなぁとも思うので、残念ながら子供に勧めたいと思う作品とはなりませんでした。
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