ゲーム | Valiant Hearts: The Great War(バリアント ハート ザ グレイト ウォー)

開発元:Ubisoft Montpellier
発売元:Ubisoft
リリース日:2014年7月31日
第一次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも、懸命に生き抜いた人々の姿を描いた傑作2Dアクションパズルアドベンチャーゲーム。戦争が始まり、ドイツ人であるカールはフランスからの国外退去を命じらた。失意にくれる妻マリーとその父エミールだったが、戦況は改善の兆しなく、ついにはエミールまでもが戦場へ駆り出されることとなる…。

↓↓以下ネタバレが含まれている場合がありますのでご注意ください。↓↓
良かった。ものすごく良かった。
プレイ前に「映画のようなゲーム」だというレビューを目にしていて、かなり期待値をあげてのプレイでしたが、いやぁ期待通りの面白さでした。
まぁシナリオについてはそこそこ大雑把で、ツッコミどころも少なくはなかったですが、ゲームならではの没入感も相まって、ストーリーにもキャラクターにも存分に感情移入してプレイできる作品となっているので、不満点もほぼなく充分楽しめました。
戦争がテーマの作品ということもあり、内容だけ見るとかなり重い物語ではありますが、デフォルメタッチのポップな絵柄とあっさりしたシナリオのおかげでそこまで重い印象もなく、衝撃的過ぎず、かといって軽過ぎず、適度にこちらの感情を揺さぶってくれるので、とてもすんなりと物語に入り込めて感動できる作りになっているんじゃないでしょうか。

実況動画のラストでも少し触れましたが、エミールは最後、マリーに宛てた手紙の中で「戦争は人を狂わせる」と言っていましたね。
これは一体誰のことを指して言った言葉だったんでしょうか。
エミールは自らの死に際して、状況が状況とはいえ人を殺めてしまったという罪の意識に加え、さらにはカールを救えなかったことがまるで自分の責任でもあるかのように悔いている様子もあり、そういった諸々の出来事に対する贖罪の感情、道を踏み外してしまった(と思っている)自分自身を指して「戦争は人を狂わせる」と言っているようにも思えます。
ただ、この言葉に込められたエミールの感情はそれだけではなく、もっと深いところでは戦争をする人間すべてを指していて、そこから、戦争というものの悲惨さや不毛さを嘆いている言葉のようにも思えてきます。
つまり「人間が人間らしく生きることを許さない戦争」に対するエミールの強い絶望感が如実に表れている言葉なのではないかなぁと感じました。

結局エミールは、カールが実は生きていたということを知らされることなくこの世を去ったわけですが、もしもカール生存の知らせがちゃんとエミールまで届いていたなら、エミールの気持ちも少しは救われたのではないかと思うと、本当にやりきれない幕引きでした。

この切ないエンディングについては、ゲーム実況の際も(良い意味で)なかなか厄介でした。
最終動画、最後のエピソードが始まって、エミールのモノローグと併せて先の展開が徐々に見えてくるにしたがって感情がずんずんこみ上げてきてしまって、スタッフロールに入ってからの最後のコメントを読み上げる際には鼻水と涙でボロボロで、声の震えを抑えながら喋るのに必死でした。
一応何度かやり直しもしてみましたが、喋っているうちに結局こみ上げて声が震えてしまうし、時間を空けての別録というのも違う気がしたので、開き直って、せめて鼻をすする音などの不要な部分だけはカットしてそのまま公開してしまいました。
ちょっと恥ずかしいような気もしますが、別録の平然とした声のコメントよりも率直な感情が伝わって良いかなと思ってそのまま上げてしまいましたが、いかがなものでしょうか。

ところで、この「Valiant Hearts: The Great War」というタイトルについて。
このゲーム、もともとのフランス語タイトルが「Soldats Inconnus : Mémoires de la Grande Guerre」というそうで、英語でのタイトルが「Valiant Hearts: The Great War」となっているようです。
このフランス語タイトルの「Soldats Inconnus : Mémoires de la Grande Guerre」をちょっと翻訳にかけてみたところ、どうやら「名もなき兵士:大戦の記憶」みたいな意味になるようでして、まぁもともと開発がフランスのデベロッパーなので当然と言えば当然ですが、やっぱり英語タイトルの方よりも、フランス語タイトルの方がこの作品の雰囲気としっくり合うような気がしますよね。
ゲーム内でも実際に、記録には残らないような末端の兵士たちの家族や恋人に宛てた手紙などがコレクトアイテムとしていくつも登場していますが、これこそこのゲームの本来のテーマなんでしょう。
歴史に名を刻む大人物たちとは違い、記録としては残っておらずとも、確かにあの大戦で命を懸けて祖国や家族のために死に物狂いで戦い抜いた兵士たちが本当に大勢いたんだと考えると、なんとも感慨深い気持ちにさせられます。

さて、ストーリー部分についてはこのくらいにして、次にゲーム部分についてですが、途中パズル的なギミックやリズムゲーム的な演出など、様々なミニゲーム要素が満載でとても楽しかったです。
それらミニゲーム要素はどれも難易度が程よく低く、ちょっと考えれば誰でもたやすくクリアできる程度のものとなっているので、適度に楽しみながらサクサクとストーリーを進められるつくりになっているのが良かった。
まぁただ、ちょっとだけ難を言えば、終盤あたりになってくると、難易度を上げるためなのか、ただ回りくどいだけと思えてしまうような部分もあったりしたのが少々気になりました。
あと、アクション要素についてですが、これについてもやはり難易度は高くなく、気持ちよく先へ進められるものが多かったので、アクションが苦手な人でもそれほど詰まることはないかなぁと思います。
後半少しだけ難しいと感じる部分もありはしましたが、何度かリトライすれば簡単にクリアできる程度のものでしたし、このあたりの要素はこの作品のメインである“物語を楽しむと”いう点を阻害しない程度にバランスよく作られている印象でとても良かったです。

最後に、巷のレビューでもさんざん言われていていますが、やはり言っておきたい。
とにかくワンコ(ウォルト)が可愛くて可愛くて癒されました。
個人的には、お利巧にバケツの中に収まって、プレイヤーがバケツを上げ下げするのをおとなしく待っているときのワンコが一番可愛かったな。
そして、ワンコを愛でている最中に背後から一撃を喰らってやられてしまう相手兵士たちが、敵ながら不憫で不憫で仕方がなかった。

↓↓YouTubeで「Valiant Hearts: The Great War(バリアント ハート ザ グレイト ウォー)」のゲーム実況やっています。↓↓
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