開発元:Tequila Works , QLOC
発売元:Grey Box
リリース日:2017年5月27日
白く大きな塔が聳え立つ不思議な島に流れ着いた少年が島を探索しながら様々な謎を解き明かしてゆくというアクションパズルアドベンチャーゲーム。嵐の後、目の前に白く大きな塔が聳える小さな島の海岸で少年は目を覚ました。人の気配がまるでしないその不思議な島で出会った小さなキツネに導かれるまま、少年は塔を目指して歩き始める…。
↓↓以下ネタバレが含まれている場合がありますのでご注意ください。↓↓
いやぁ、これは凄い。久々にどっぷり世界観に浸れる良質の雰囲気ゲーでした。
何でしょう、すべての人が同じ感想にはならないとは思いますが、個人的にはゲームを構成する様々な要素がとてもバランス良く盛り込まれていて、ある意味完璧な出来の雰囲気ゲーではないかと思いました。言い過ぎかな。
まずなんといっても、柔らかい色使いで温かみのあるグラフィックと、美しいけれどどこか寂し気で壮大な音楽とで構築される独特の世界観がとにかく素晴らしい。
主人公の少年と赤マント以外には人の気配もなく、セリフや文章の無い演出も相まってか、とても明るくて色彩豊かで穏やかなのに、どことなく寂寥感の漂う独特の世界観がとても好みでした。
ただ、このゲームはそれだけではなく、適度にやりごたえのある程よいボリューム(人によるかな?)に、絶妙な難易度の楽しいパズルアクションなどのゲーム性、そしてちょっと切なくてほんのり心に沁みてくるストーリー性、このあたりのバランスがとてもうまく盛り込まれていて、最初から最後まで本当に気持ちよく楽しくプレイすることができました。
まぁただ、このあたりは自分が生粋の“雰囲気ゲー好き”であるからそう感じるのであって、普段からもっとハードなゲームを好んでプレイする人などにとっては“ぬるい”と感じてしまうかもしれませんが。
ところで、肝心のストーリーについてですが、これについては作中セリフや文章などでの説明は全くないため、明確に把握するのは少々困難となっております。
実況動画のラストでも少し触れましたが、大まかなストーリーとしては、お父さん(赤マント)と息子である少年が小舟で海へ出たところ嵐に会い、少年は海へ投げ出され命を落としてしまった。そして、少年が冒険する白い塔が聳えるあの不思議な島は、“生死の間の世界”のようなもので、冒険の末、最後に少年はあの世へ旅立ってゆく。おそらくこんなところでしょう。このあたりについては説明が無くともエンディングまで全部見れば何となく察することができました。
ただ、いかんせんその他の細かい部分については、どうにもこうにも正解がないため、理解できない点がかなりありました。以下にちょっと箇条書きにしてみます。
◆白い塔や作中登場する様々なキャラクターたちはそれぞれ何を象徴していたのか
少年が冒険する島自体は“生死の間の世界”のようなものか、もしくは少年の“心象世界”のようなものかなぁと思っていますが、そこに登場する白い大きな塔やその他の様々なキャラクターたちが象徴しているものは結局のところ何であったのかという謎。
白い塔 → 作中の様々な描写から、おそらくこの“生死の間の世界”と他の世界(現世?)を繋ぐパイプのようなものなのかな。ただ、その他にもてっぺんの鍵穴とか、天地が逆さになった謎とか、ラストの大穴とか、灰色の少年の部屋とか、いまいち腑に落ちる説明が思いつかない部分が多いです。
キツネ → 道中たびたび登場するキツネは少年を導くような役割を担っているようでしたので、島が“生死の間の世界”のようなものとすると、キツネは死者の魂をあの世へ導く役割を担っている存在ということになるのかな。ただ、もしかするとキツネは少年の心の一部を投影した存在なのかもしれないとか思ったりもします。
ロボ → この二本足のロボについても、キツネと同じく少年の冒険を助ける存在になっています。ただ、キツネが少年から分離した存在だと思われるのに対して、複数の個体が登場すること、ロボの工場のような場所や墓場のような場所があること、扉と一体化する表現があるということなどから、このロボはどちらかというと島(生と死の間の世界)の一部ということになるのではないかなぁと。そのロボが少年の冒険の手助けしていた意味についてはいまいち謎ですが…。
黒い影たち → これは、ラストで大穴に次々と黒い影たちが飛び込んでいく描写から、おそらく死んだ人たちの魂のような存在なんでしょうね。なお、もともとは少年のように普通の人間の姿をしていたようですが、何かのきっかけで一旦石像になり、その後石の殻を破るようにしてあの黒い影が生まれてくるということみたいですね。人間の魂が石像になってしまう理由は判然とはしませんが、まぁ心の闇(?)に支配された結果みたいな感じなんだろうな。
◆赤マントの正体とあの世界での存在理由
正体が少年のお父さんであるということは恐らく間違いないと思いますが、赤いマントを頭から被って少年の行く先々に言葉もなく表れては消えてを繰り返していたのにはどんな意味があったのか。まぁあの世界での赤マントは現実世界のお父さん本人というよりも、お父さんの少年を強く想う気持ちが、あの世界に何かしら作用して、あのような形で表れたのではないかと考えられますね。
◆少年が闇にのみ込まれた理由と元に戻ることができた理由
ロボやキツネが目の前から消えてゆくことを嘆き悲しみ、その結果心の闇(?)にのみ込まれたということなのかなぁとは思いますが、やっぱり明確にはその理由は分かりません。また、闇にのみ込まれた状態から解放される要因が、塔内の光を解放したことだったので、そうなると塔自体がそもそも少年の心の中の何かを象徴しているものなのかなぁとか、なんだかよく分からなくなります。
◆塔が逆さになっていたことの意味
これは本当に謎。もともと塔のてっぺんを目指していた少年が、気づいたらいつの間にか最下層(塔のてっぺん)にいて、逆さになった塔をあらためて下へ降りてゆく(てっぺんに向かう)描写が意味しているものは一体何だったのか。ちなみに、ラストで少年が飛び込む大穴ですが、よく見ると塔のてっぺんにあった大きな鍵穴や階段などが確認できるので、あの大穴自体が塔であるのは間違いなさそうです。ただ、その鍵穴の丸い部分は上になっていたので、つまりこの時は、塔のてっぺんから最下層に向かって飛び込んでいったということになりますね。それが何を意味しているのかはやっぱり分かりませんが…。
◆鍵穴で見られる8枚の絵の意味
これが作中一番の謎にして、その他の様々な謎をさらに分からなくさせる要因ともなるものでした…。この8枚の絵は、どうやらおとぎ話のようになっていて、どこかの国に少年(王子?)が生まれ、産後体調を悪くした母親が亡くなり、父親(王様?)は悲しみに暮れ、少年が小舟に乗って旅に出る。ほどなくして父親は悲しみのあまり闇にのみ込まれ、その闇が国全体を支配する。一方少年は小舟である国にたどり着き、その国が実は闇にのまれた王様の国と表裏一体の国だったと……、ざっくり説明するとこんな感じでしょうか。これは、作中の少年が冒険する世界そのもののことを描いたものではないとは思いますが、もしかすると作中の世界の成り立ちみたいなものを表しているのかなぁと。もしそうだとすると、少年がいた世界から塔の中へ飛び込んで向かう先は“あの世”ではなくて“闇に飲まれた王様の国”なのかもしれませんが、どうなんでしょうか。うーむ。
まぁこんな感じで、考察が苦手な自分が無い知恵を絞ってあれやこれや考えてみましたが、結局行きついた答えとしては身も蓋もなく「正解を知る必要はない」ということでした。
考えても結局明確な答えが用意されているわけでもないので、下手に考えすぎてごちゃごちゃさせるよりも、なんとなくふんわりこのゲームの世界観について思いを巡らす程度がちょうどいいのかなぁと思いました。
まぁつまりはギブアップです。笑
というわけで、こんな考察はどうだろうetc…もしおありでしたら、是非ともメッセージいただければ嬉しいです!
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