原題:When Marnie Was There
著者:ジョーン・G・ロビンソン
発行:1967年
みんなは“内側”の人間だけれど、自分は“外側”の人間だから―心を閉ざすアンナ。親代わりのプレストン夫妻のはからいで、自然豊かなノーフォークでひと夏を過ごすことになり、不思議な少女マーニーに出会う。初めての親友を得たアンナだったが、マーニーは突然姿を消してしまい・・・。やがて、一冊の古いノート が、過去と未来を結び奇跡を呼び起こす。
<感想>
読み始めは、よくある女の子向けの、ふわっとした感じの物語かと思って、そこまで気乗りがしなかったのですが、マーニーの秘密が明らかになってゆく後半にかけて、そんな甘っちょろい考えは吹き飛びました。
約350ページもある物語の半分以上をかけて、アンナのこと、アンナとマーニーのことを、じっくり丹念に描いており、前半は人によってはちょっと飽きがくるかもしれませんが、最後まで読んでゆくと、それらもすべてが必要なものであったことがよく分かります。
他人と正面から向き合うことから逃げ、自分の殻の中で孤独に生きていたアンナが、マーニーと出会って以降どんどん変わってゆく様は、読んでいて本当に爽やかで痛快でした。
すべてがもれなく丁寧に描かれており、読み味のやわらかさとは裏腹に、なかなか骨太な作品だと思います。
児童文学 | 思い出のマーニー
