児童文学 | 海の上のピアニスト

原題:Novecento Un monologo
著者:アレッサンドロ・バリッコ
発行:1994年
船の上で生まれ、一度も船を降りることの無かったノヴェチェントは、前代未聞の音楽を奏でる、船の専属楽団のピアニストだった。音楽の才能に恵まれながら、夢を何ひとつ実現することのできなかった天才ピアニストの伝説。

<感想>
ずいぶん前に観た映画の原作。
テンポのいい語り口でとても読みやすく、最後まで気をそらすことなく一気に読めました。
映画の印象があったので、あまりにあっさりな内容だったのがちょっと意外でしたが、なかなかどうして面白かった。
やっぱりなんといっても、時化の夜のピアノのシーンが秀逸。
絵になるというかなんというか、ため息が出るほど素敵で、またしっかりオチもついてて痛快でした。
ちなみに、ジェリー・ロール・モートンとの対決シーンについては、ジェリーを打ち負かしてしてやったりのシーンというよりも、ノヴェチェントの孤独が浮き彫りになる、ちょっと寂しいシーンなのかなと思いました。
気軽にさらっと読める割に、なかなか味わい深さのある作品なんじゃないでしょうか。