児童文学 | 兎の眼

原題:兎の眼
著者:灰谷健次郎
発行:1974年
新卒の教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校で一言も口をきかない一年生の鉄三。心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だが、周囲とのふれ合いの中で次第に彼の豊かな可能性に気付いていく。

<感想>
冒頭の鉄三の暴力や蝿の飼育など、ちょっと刺激が強くてとっつきにくかったり、やたら大人目線の教育論の展開が少し気になったりはしますが、良くも悪くも考えさせられる部分があり、すべてを手放しで受け取ることはできませんが、それなりに読む価値はある作品だとは思います。
ただ、どうしても好きになれなかったのが、夫の考え方、価値観を理解しようともせず、否定して蔑むことしかしない小谷先生の価値観の狭さ。
これだけ子供に寄り添うことのできる人が、なぜ家族である自分の夫には寄り添うことができないのかなぁ。
読んでいて悲しくなりました。