児童文学 | シーラカンスとぼくらの冒険

原題:シーラカンスとぼくらの冒険
著者:歌代朔
発行:2011年
地下鉄に乗りこんだシーラカンスは、まぼろしか、妖怪か・・・!? 幼なじみのアキラと、自由研究で調べはじめたマコト。謎を解き、「師匠」と呼んでシーラカンスと友だちになった二人は、一緒に冒険に出かけることになり・・・。忘れられないひと夏の、友情と冒険の物語。

<感想>
あらすじからして、よくある夢オチとかそのあたりのお話かなぁとタカをくくって読み始めましたが、シーラカンスの存在を駅員さんがあっさり認めるという意外な展開に虚を突かれ、そこからじわじわと引き込まれました。
陸シーラカンスの設定や師匠のキャラクターなど、シュールで味があって面白いですし、なによりマコトやアキラ(主にマコトですが)の心理の描写が大変丁寧で好印象。
中でも、師匠を救出するシーンで、本来理知的であるはずのマコトが見せた、本人すらも思いもよらなかったであろう大胆な行動に、思わずぐっと熱いものがこみ上げました。
ただ、本当に超超個人的な感想で恐縮なんですが、せっかく陸シーラカンスという存在が現実のものであったのに、途中で挿入されるエピソードはまぁともかくとしても、ラストが非現実的な締め方だったのが、ほんの少しだけですが、残念といえば残念でした。