児童文学 | 肥後の石工

原題:肥後の石工
著者:今西祐行
発行:1965年
九州地方には、江戸時代末期に石だけでつくられた、美しいアーチ型のめがね橋が数多くある。その石橋づくりには、つらい過去とたたかいながらも、命をかけて弟子たちを育てた名職人・岩永三五郎の物語がかくされていた。

<感想>
うーん、良い作品だとは思うんですが、ちょっとピンときませんでした。
実在の人物、岩永三五郎が成した偉業を描いた作品ですが、それを記すのみであれば伝記や評伝の形で事足りますし、執筆当時うわさ程度の歴史であった永送りや、架空の登場人物などのフィクションを加えて“小説”としているわりには、“小説”としての面白さをいまいち味わうことができませんでした。
まぁ、何をもって“小説”の面白さとするかは人によって違いますので、結局は個人的な感想になってしまうんですが、なんというか、「人間」に焦点を当てた描き方がされておらず、テーマや人物の描写(掘り下げ?)が圧倒的に物足りなく感じました。