児童文学 | 石切り山の人びと

原題:石切り山の人びと
著者:竹崎有斐
発行:1976年
権六たち悪童が支配してきた屋敷山に、持ち主だと名のる田子老人一家が越してきて対立した。いっぽう、権六のおとうは、権力に石まぶの仕事場をうばわれようとし、必死に抵抗していた。戦時下の熊本を舞台に展開する激動の人間模様。

<感想>
この作品、どうやら現在では絶版となっているようですが、こんなに良い作品が、現在なぜもっと広く読まれる作品となっていないのか不思議。
物語としても(少々重いですが)十分に面白く、なおかつ戦争の時代を生きる人びとの姿やその想いがとても生々しく描かれており、戦争というものがどういうものであったのか、あらためて深く考えさせられる部分もあるため、ある意味とても貴重な作品だと思います。
個人的には、必死でみよをかばおうとする権六の姿に心を動かされ、戦争へ行く決心をする和彦の心情の変化のくだりが衝撃的過ぎて震えました。
児童文学に分類されている作品ではありますが、年代を問わず読む価値のある作品だと思いますので、是非とも一度読んでみてほしいです。