児童文学 | ブンナよ、木からおりてこい

原題:蛙よ木からおりてこい
著者:水上勉
発行:1972年
トノサマがえるのブンナは、跳躍と木登りが得意で、大の冒険好き。高い椎の木のてっぺんに登ったばかりに、恐ろしい事件に会い、世の中の不思議を知った。生きてあるとは、かくも尊いものなのか―。

<感想>
これはまた変化球な・・・。
場面転換はほぼなく、椎の木のてっぺんという限られた状況下にて、鳶に捕食される様々な生き物たちの悲喜こもごもを、ひたすら観察する物語。
正直、非常に鬱々しくて、見方によってはややグロい作品です。
生の尊さを伝えるとても素晴らしい作品だとは思いますし、ラストの展開にいたっては大変感銘を受けましたが、なんというか、やっていることがもう小説ではなく、教科書になってしまっていて、まぁ自分の好みとは対極かなと。
ただ、間違いなく良書だとは思いますので、一読の価値は大いにある作品だと思います。